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2006/03/25

熊野古道の印象

10、11日と熊野古道を歩きに行ってきました。12日にバスから撮ったいい加減な写真をアップしましたが、2週間経って、写真を整理しながら、熊野古道を思い帰してみました。

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紀伊半島を一周したのですが、熊野の山々はほとんどがスギの人工林でした。熊野市の周辺にはヒノキもありましたけれども、全体に占める割合はわずか。

上の写真も熊野古道から撮ったもの。樹齢は40年前後でしょうか。まだ木材として出すには早く、しかも間伐が必要と思われるほど過密な状態。林下はただでさえ暗い上に、スギが枝葉を落とすため、下層植物は乏しい。ユズリハがまばらに生えています。

雑木林もあるのですが、道すがら見た限りでは1~2割程度でしょうか。しかも今でも伐採、造林が行われています。

また、雑木林は照葉樹林、つまり常緑広葉樹の林です。冬でもシイやカシなどの葉が青々と茂る雑木林には驚きました。

私が住む地域では、雑木林といえばブナやナラなどによる落葉広葉樹の林。林下は明るく、落ち葉が積もった地面は柔らかい。常緑広葉樹もあるのですが、全て低木です。大きなものは雪の重みに耐えられず、折れてしまいますから。

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熊野古道です。これが世界遺産。幅は6尺ほど。この道の左右50mが緩衝地帯に指定されているそうです。熊野の山全てが世界遺産というわけではないようです。熊野古道の一部は舗装されており、世界遺産からも除外されています。また、世界遺産とはいえ、文化遺産です。自然遺産や複合遺産ではありません。日本には現在、世界遺産が13ありますが、自然遺産は屋久島、白神山地、知床半島の3つ。あとは全て文化遺産です。

また、熊野の山はほとんどが民有地とのことです。

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わずかに日が差す場所では、下層植物が懸命に芽を伸ばしています。写真はシャガ(アヤメ科アヤメ属)でしょうか。

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ウラボシ(ウラボシ科ウラボシ属)の群落。整備の進められているところでは、このように緑に覆われているところもあります。シダ類に関してはものすごく豊富で、石垣などをさっと見渡すだけでも十数種類のシダを見ることができました。

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私は熊野の山々に対し、もののけ姫の世界のような、大樹が林立する未踏の秘境をイメージしていました。正直なところ、実際に接してうろたえました。ショックだったような気もします。南方熊楠が蘇ったら、悲嘆に暮れたかもしれないな、とも思います。

いろいろな意味で勉強になりました。対岸の火事とは思えず、身につまされました。日本のいたるところで進行していることとはいえ、ここは世界遺産ですから・・。短期的にも中長期的にもさまざまな問題があるかもしれませんが、ぜひ地域のコンセンサスを得ながら、世界遺産にふさわしい自然を復活させて欲しいと願います。

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コメント

はじめまして。
僕も1月に熊野古道へ行ってきました。
行ったのはツヅラト峠コースのみでしたが。
さすが僕のお気楽観光とは違って
視点が鋭いですね。
確かに言われてみれば植林した感のある木木が多かったような気がします。
もはや原生林は自然遺産地域くらいでしか見られなくなっているのかもしれないですよね。
少し寂しい気がします。
今度山に行くときは少し視点を変えてみたいと思います。
勉強になりました。

投稿: Kasuga | 2006/03/26 00:43

kasugaさん、こんにちは。

私はツヅラト峠付近は歩かず、国道42号線沿いの車窓から眺める風景を知るのみです。県境のあたりは急勾配の峠をいくつも越え、いかにも難所という感じでした。歩いて越えるのは大変だったでしょうね・・。

私が歩いた中では、見惚れるような大樹といえば、一方杉くらいだったかと思います。伐採されそうになった時、南方熊楠が尽力して残した杉。一本杉と勘違いし(^^;)1本だけかと思っていたら、9本くらいあるようでした。落雷や強風により、けっこうダメージを受けている木もありました。

平安時代から文献にも登場し、歴史的にも文化的にも味わい深い道だったと思います。

投稿: MUGIXOR | 2006/03/26 22:02

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